しょうゆとは





しょうゆとは、主に大豆などの穀物を原料とした発酵液体調味料で、日本料理において外せない基本的な調味料のひとつです。「しょうゆ」という言葉ができたのは室町時代だといわれていますが、しょうゆの前身と思われるものとして「醤(ひしお)」があります。飛鳥時代、701年に定められたとされる「大宝律令」の中で、「醤」という言葉が出てきます。大宝律令では、いろいろな「醤」や「未醤(みそ)」(現在の味噌の祖)をつくり、管理していたことが記されています。
「醤」(ひしお)とは?
この当時の「醤」は今でいうしょうゆと味噌の中間のようなものです。原料ごとに「草醤(くさびしお)」、「肉醤(ししびしお)」、「穀醤(こくびしお)」の三種類に分かれています。今では、それぞれ草醤=お漬物、肉醤=塩辛類、穀醤=径山寺(きんざんじ)みそのようなものだといわれています。
鎌倉時代には「溜(たまり)」が現れます。大宝律令から約550年後の建長六(1254)年、信州の禅僧覚心は中国の宋から帰朝し、径山寺みその製法を持ち帰りました。その後、紀州の湯浅で村人に径山寺みそ造りを伝えたといわれていますが、その製造の過程でできる桶の底に溜まった液汁がおいしく、煮物づくりに適していることを発見しました。このことが、塩分をおいしく摂取する手段としてのしょうゆの始まりといわれています。
醤油の「油」という文字は、とろりとした液体のことを意味し、「醤」の文字とあわせて「醤油」という言葉が出来上がったと考えられてます。
しょうゆの歴史
飛鳥時代 | 大宝律令に、「醤」や「未醤」をつくったり、管理したりしていたことが記されている。 |
平安時代 | 延長5年(927)「醤」や「未醤」が売られていた。 |
鎌倉時代 | 中国から径山寺みその製法が伝えられ、このみそから分離した液体が「たまりしょうゆ」の始まりとされている。 |
室町時代 | 垂味噌、薄垂など、今のしょうゆに近いものが製造されていた。 |
安土桃山時代 | 当時の日常用語辞典である「易林本節用集」に「醤油」という言葉が初めて出てくる。 |
江戸時代 | 関西ではすでにしょうゆが名産として流通するなか、関東こいくちしょうゆの生産が始まる。 うすくちしょうゆや再仕込しょうゆなどが開発された。 中国本土、東南アジアやオランダ本国までしょうゆが輸出された。 |
しょうゆの種類
しょうゆは主に、5種類に分類されます。最も一般的な「こいくちしょうゆ」、関西地方発祥の「うすくちしょうゆ」、主に東海地方で造られる「たまりしょうゆ」、山陰から九州地方にかけて特産の「再仕込しょうゆ」、愛知県碧南地方で生まれた「白しょうゆ」があります。
分類 | 写真 | 原料 | 塩分 | 原料/仕込み | 特徴 | おすすめ料理 |
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こいくち | ![]() |
大豆、小麦、塩 | 16% | 大豆:小麦=1:1 | 風味がよく、うま味や舌ざわりのバランスがとれていて、使いやすい。 | つけかけ、煮物、焼き物 |
うすくち | ![]() |
大豆、小麦、塩、あま酒、水あめ等 | 18〜19% | 大豆:小麦=1:1 | 原料に甘酒などが加わり、甘みがある。 しょうゆの旨味も色と同様に、控えめに 仕上がっている。 塩分は高めで、熟成期間は短い。 |
ふくめ煮、炊き込みご飯 |
たまり | ![]() |
大豆、小麦、塩 | 16% | 大豆:小麦=ほとんど:少量 | ほとんど大豆だけで造られ、濃厚なうま味や独特な香りがある。 熱を加えると美しい赤色になるため、濃厚な色ツヤで料理を仕上げることができる。 |
寿司、刺身、照り焼き、佃煮 |
再仕込み | ![]() |
大豆、小麦、塩 | 16% | 大豆:小麦=1:1 | 色・味・香りが濃厚。みりんや砂糖を加え、甘く味付けされたものも多く、甘露しょうゆとも呼ばれる。 原料はこいくちしょうゆと同様だが、2度仕込む製法のため「再仕込み」しょうゆと呼ばれる。 |
寿司、刺身、冷奴 |
しろ | ![]() |
小麦、大豆、塩 | 16〜19% | 大豆:小麦=少量:ほとんど | 甘みがあり、独特な香りを持つ。 熟成期間がうすくちしょうゆよりも短いことに加え、原料のほとんどが小麦で、うすくちしょうゆよりもさらに薄い色合いのしょうゆ。 |
煮物、吸い物、茶碗蒸し |
頼れる!しょうゆパワー
しょうゆには様々な頼れる効果が!
お料理の下ごしらえや仕上げにはもちろん、食卓でのつけ・かけ時にも効果を発揮する、頼れる食事のお供です。
- 消臭効果:肉や魚の臭みを消す
- 抑制効果:塩味を抑える
- 静菌効果:菌の増殖を抑える
- 相乗効果:だし味を高める
- 加熱効果:食欲を増す色と香りを作る
濃口しょうゆができるまで
イチビキでは、豊橋市にあるしょうゆ工場で「こいくちしょうゆ」「うすくちしょうゆ」「再仕込しょうゆ」「たまりしょうゆ」を作っています。工場の広さは約31,000m2あり、サッカー場約4.3面分もの大きさになります。

参考文献
日本醤油協会「世界を駆ける調味料しょうゆの不思議改訂版」
日本食糧新聞社「味噌・醤油入門改訂5版」
しょうゆ情報センターホームページ
愛知味噌溜醤油工業協同組合愛知のたまりしょうゆ公式サイト