メインコンテンツに移動
 
ニュース2022.03.29

人手不足の解消、生産性向上を目的として人型協働ロボットを導入、3月から稼働開始~惣菜加工工程への導入は惣菜業界初の事例~

イチビキ株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:中村光一郎、以下イチビキ)は、株式会社アールティ(東京都千代田区、代表取締役:中川友紀子、以下アールティ)が開発した人型協働ロボットをイチビキ第2工場(愛知県東海市、以下当工場)に導入し、惣菜加工工程での稼働を開始しました。惣菜加工工程への導入は惣菜業界では初の事例となります。この試みは日本惣菜協会が主導する経済産業省の「令和3年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(ロボットフレンドリーな環境構築支援事業)」の中で実現しました。イチビキは、本事業にアールティをはじめとする16社の一員として参画しています。

このたびの人型協働ロボットの導入、稼働により、人とロボットが協働できる惣菜工場の環境づくりを進めることができました。今後は、人手不足の解消、生産性の向上、安定した商品供給の実現など、ロボット導入による効果を出せるよう、取り組んでまいります。

つくね具材を投入する人型協働ロボットFoodly(フードリー)

Foodlyが製造工程に関わった商品「赤から 具だくさんのつくねと白菜のスープ」

イチビキへの人型協働ロボット導入について

イチビキは味噌、しょうゆ、つゆ等の調味料、惣菜、釜飯の素などを製造販売する食品メーカーです。味噌、しょうゆ等の醸造商品に比べ、惣菜は加工工程に多くの従業員の手作業を必要としています。現在、惣菜加工工程は多くのパート従業員に支えられていますが、今後は人員確保が難しくなることや、賃金の高騰が予想され、人手不足は大きな課題となっています。また、生産性向上は、良い品質の商品を適正な価格で消費者へお届けするために食品メーカーが継続的に取り組むべき課題です。これらの課題を解決し、安定した商品供給を行うために、人型協働ロボットの導入を検討してまいりました。

2021年10月、アールティが開発した人型協働ロボットFoodly(読み方:フードリー)を、愛知県東海市のイチビキ第2工場の惣菜加工工程へ導入し、稼働に向けた準備を進めてきました。アールティの人型協働ロボットFoodlyは、これまでに弁当工場の盛り付け工程への導入事例はありますが、加工工程への導入は惣菜業界では初の事例であり、今回の導入は、当社だけでなく、惣菜業界にとっての大きなチャレンジとなりました。

Foodlyの導入と稼働状況について

Foodlyは、2021年10月の工程導入から約6ヶ月をかけ、2022年3月に稼働に至りました。Foodly自体の設定変更や動作確認、工場内の環境整備を行い、2022年3月時点で、実際に出荷する商品の加工ラインに携わるようになりました。現在、Foodlyが行う業務は、パウチ入り惣菜「赤から 具だくさんのつくねと白菜のスープ」の製造工程で、つくね具材をトングでつかみ、カップに入れる作業を行っています。従来、パート従業員2名で行っていた作業を、Foodly2台とパート従業員1名で行うことができます。

アールティはFoodly標準構成モデルを製造工程に合わせてカスタマイズしました。これまでFoodlyは、弁当の盛り付け工程での稼働実績はありましたが、惣菜加工工程への導入は初の試みとなり、従来にないFoodlyの設定変更が必要になりました。例えばFoodlyがつくね具材を投入するカップは、弁当用トレーとは高さとサイズが大きく異なるため、カメラの認識設定、つくね具材を投入する位置の調整など、細部にわたる変更を行いました。

また、当工場では、ケージ(安全柵)の中で単独で働くロボットの稼働実績はありますが、協働ロボットの導入は初めての試みとなりました。イチビキは、人とロボットが協働する職場環境の整備を、ハード、ソフトの両面で進めてきました。ハード(設備)面では、Foodlyが具材をつかみやすいように、ラインの一部改良を行いました。またソフト(運用)面では、従業員がロボットと協働することを受け入れる風土を醸成し、ロボットと協働できる環境作りに取り組んでまいりました。例えば、Foodlyが水に濡れることを防ぐため、水を使った工場内の清掃作業はFoodlyが設置されていない時間帯にずらして行う等、ロボットに対する配慮が行われるようになっています。Foodly設置当初は多くの戸惑いがありましたが、人とロボットの協働に向けて、ハード、ソフト両面から理解を深めることができた点は、今後につながる大きな意義だと感じています。

現時点では、Foodly1台の作業速度は、パート従業員よりも遅く、協働する従業員のサポートを受けながら作業を行っているため、生産性が大きく改善されたわけではありません。しかしながら、将来的にはFoodly自身の性能が向上し、多くの商品づくりに携わることや、作業速度が上がることで、人手不足の解消や生産性向上が見込まれています。

これらの試みは、日本惣菜協会が主導する経済産業省の「令和3年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(ロボットフレンドリーな環境構築支援事業)」の中で実現しました。イチビキは、本事業にアールティをはじめとする16社の一員として参画しました。本事業のプロジェクトは2022年3月で区切りとなりますが、イチビキは今後もアールティとともに人とロボットが働きやすい環境を模索し、ロボットによる生産性向上を目指してまいります。

令和3年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業について

経済産業省では、人手不足が深刻化している、施設管理、小売・飲食、食品製造の3分野について、ロボットのリーディングユーザーを核に、システムインテグレーター等が集い、ロボフレな環境構築に向けた検討を行う場として、「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」(TF)を立ち上げ、食品分野においては、特に惣菜・お弁当などの中食の盛り付け工程は自動化の難易度が高く、現在、その工程の大半を人手で行っており、人手不足への対応、労働生産性向上、工場における三密(密閉・密集・密接)回避のためには、盛り付け工程を自動化し、無人化・省人化を目指すことが必要との結果に至りました。

柔軟・不定形の食品を、迅速に見栄え良く盛り付けることは、ロボットにとって極めて難易度の高い作業であり、それをロボットで実現することとなれば、高度な技術を活用した高価格なものとなり現場実装が進みません。

そこで、ロボットにとって盛り付けしやすい盛り付け方法や、掴みやすい包装容器の在り方等、ロボットにやさしい環境、ロボフレな環境を構築することが必要であると結論付け、このロボフレを主導する団体として600社強の惣菜関連企業の会員を持つ日本惣菜協会を採択し、16社の参画企業とともに研究開発に取り組みました。

各社の取り組みの詳細については日本惣菜協会のリリースからご確認ください。

人型協働ロボットFoodlyについて

アールティが食品業界のニーズに応える形で2016年頃より技術開発を始め、2018年10月にプロトタイプを発表。その後FOOMA2019(国際食品工業展)で「ばら積みの食材をひとつひとつ認識してピッキングし、ベルトコンベアのラインで人の隣に並んで働くことができる世界初のロボット」として初出展しました。2020年に「標準構成モデル」を発売し、食品メーカーの工場で試験的な導入が始まっています。2021年には海苔巻きロボットと連携してセル生産方式で海苔巻きを製造する新たなコンセプトモデルを発表するなど、活用の幅を広げるための研究開発も進めています。

またFoodlyは「令和2年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」にアールティが参画した際も研究開発に使用されました。

おいしさスマイル イチビキ
 

ページ情報をメールで送信

ご入力いただいたメールアドレス宛に、ご覧いただいているページのタイトルとURLを送信いたします。

メールアドレス

必須

例)example@ichibiki.co.jp